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賃金の減額
会社側の都合で賃金の減額を行うことは可能でしょうか?
労働契約において、賃金・労働時間等は労働契約の重要な要素であり、これを労働者の合意無く一方的に変更することは原則できません。 (労働契約法8条)
賃金が労働者との個別の労働契約で定められている場合は、賃金を減額することについて、労働者の個別の合意を得なければ賃金を減額することはできません。労働者の合意を得るには、賃金減額の必要性、合理性を十分説明し、労働者の自由な意思に基づいて、賃金減額の合意を 書面でもらうことが必須です。
就業規則を変更することにより、制度的に賃金を減額することもできると思われますが、こうした変更には高度の必要性と内容の合理性がなければなりません。(下記ご参照)
ポイント
- 変更の必要性
- 不利益の程度
- 変更内容の相当性
- 代償措置の有無
- 労働者(労働組合)との協議など
を総合的に考慮して就業規則の変更の合理性の有無を判断します。
会社の業績及び経費関係の資料を示すことは最低限必要でしょう。未来の業績見通し、直近のキャッシュフロー、自己資本比率等も検討します。 業種別賃金との比較検討、賃金減額の代わりに労働時間が削減される等の代償措置も必要になるでしょう。
また、就業規則を変更する場合は、労働基準法や労働契約法にも注意が必要です。
労働契約法では、就業規則による労働条件の変更として労働者の合意なく、不利益に労働条件を変更することはできないと定められています。(労働契約法9条)
ただし、「変更後の就業規則を労働者に周知させ、かつ、就業規則の変更が、労働者の受ける不利益の程度、労働条件の変更の必要性、変更後の就業規則の内容の相当性、労働組合等との交渉の状況その他の就業規則の変更に係る事情に照らして合理的なものであるときは、労働契約の内容である労働条件は、当該変更後の就業規則に定めるところによるものとする。」と定められています。(労働契約法10条)
▼不利益の程度とは・・・通常甘受しうる程度の不利益であるか否か
▼変更の必要性とは・・・不利益を労働者に受忍させることを許容できるだけの高度の必要性が基本
就業規則変更の注意点
- 事前に労働者に十分な説明をすること
- 労働者代表の意見聴取を行うこと
- 労働基準監督署に就業規則(変更後)を届出ること
最近では、賃金の補填目的として、副業で補う事例も増えてきています。(下記参照)
また、『中小企業緊急雇用安定助成金』等の公的助成金の活用を検討する必要もあるでしょう。
東芝と富士通、副業を容認 減産の半導体工場
富士通と東芝は4日、減産を実施している半導体などの工場の社員を対象に、副業を容認することを明らかにした。
通常は原則禁止しているが、減産に伴う労働時間の短縮で賃金が減るため、例外的に認める。
富士通は半導体子会社、富士通マイクロエレクトロニクスの岩手工場(岩手県金ケ崎町)など4工場に勤務する約5000人を対象とする。
勤務シフトの変更で1人当たりの労働時間が減るため。同社はIT(情報技術)バブルが崩壊した2002―03年にも副業容認の措置をとった例がある。
[2009年2月5日/NIKKEI NET]